チョットひとこと 第47話

今年度の秋田市の浅利香津代の日本舞踊教室第4回『清香會』公演9月15日(日曜日)終わりましたぁ!
“素晴らしかった!”というお褒めと、會員と會主香津代に貴重な宿題と新たな学習と鍛練の覚悟を頂けた大事な節目の公演となりました!

『清香會』公演は必ず香津代の朗読を第一部としてきましたが今回の朗読「美空ひばり物語」は私の長い役者生活での不思議なご縁“神様からのプレゼント!”なのです。今回のパンフレットにそのご縁を書いてみましたので、そのまま記載しますね。朗読の番組解説としてのコーナーに載せたものです。

―香津代の朗読「美空ひばり物語」―
脚本:神津カンナ・監修:加藤和也(株)ひばりプロダクション代表

『美空ひばり!』そのお名前その方は物心ついた頃から“小さいのに!”とびっくりしながら追いかけていたのですが、決定的に心に焼きついたのが、東映映画「ひよどり草紙」!(私は小学校五年生)中村(後に萬屋)錦之助さんと胸ときめく名場面でのひばりさんの凛とした清く美しい愛一筋に生きる姿でした!それから後の映画はほとんど拝見し、レコードが出ると買い覚え、芸能雑誌平凡からは、ひばりさんの写真を切り抜き貼った帳面は何冊にもなり、舞台は大学入学で上京してから新宿コマ劇場公演は見逃さず、それなのに最後のドーム公演は、劇団前進座在団中の地方巡業で拝見できず、それだけが心残りで、その収録ビデオを何回も見ては涙を流しました。

実物のひばりさんには二度お目にかかれた事が私の宝箱に入っています!一度目は前進座在団中、中村翫右衛門先生の助手と役も頂き、銀座日生劇場での北条秀司作・演出の「樋口一葉」公演の折、初日にひばりさんから翫右衛門先生にお花が届き、毎朝お水をやる度に胸ときめいていたある日先生が「終演寸前にひばりさんを正面玄関でお待ちし、お渡しする様に!」との指示で引き出物を持ち、羽二重の頭を手拭いで包み、黒子に黒足袋セッタを履き楽屋口から飛び出しました。薄紫色のマントコートをヒラヒラとしひばりさんが劇場の階段を下りて来られた時は息が止まりそうでした、そしてやっと先生の言付けを伝え五言六言交わした会話は、まったく覚えてない程で、その夜は眠れず、ひばりさんに初めてお手紙を書きました!

二度目はひばりさんが福岡の病院から退院した頃、北大路欣也さんの歌舞伎座での「旗本退屈男」公演の折。欣也さんともご縁があり舞台は欠かさず拝見しておりましたので、その日も楽屋をお訪ねし、次の間に居た私に欣也さんが“こっちへおいでョ!紹介するよ”とおっしゃり、膝を進めて化粧台のある部屋に入りましたら、ひばりさんがいらしたのです!ドデンしたのなんの!声も出ず目は点に、体は石!二の腕がつく程のお傍で数十分・・・・何をお話したのか?・・・・私の宝箱にひばりさんのお声と共に保管しております。

そんな私に天からの贈り物がまた届きました。ひばりさんがこの世から居なくなって十数年・・・、ひばりプロ製作「新美空ひばり物語」全国巡演公演の舞台になんとなんとひばりさんの母上喜美枝さんのお役を頂いたのです!えっ?え~~!?神様もずいぶんいたずらをするものと天に手を合わせました。夫増吉さん役は浜田光夫さん。浜田さんは私の主演舞台「貞子!秋田おばこ物語!」で三年に渡り夫婦役で旅をしましたので息もピッタリ!第一次の公演では母上喜美枝さん役は淡路恵子さん、二代目の喜美枝さん役は南田洋子さん。南田さんのママ役の折は、ちょうどテレビで南田洋子さんご本人の役を頂いていた時でしたので楽屋にもお訪ねし、その舞台を拝見しておりました。そしてひばりさんの役は浅茅陽子さん、NHK朝のテレビ小説「雲のじゅうたん」で主役をやった方で、陽子ちゃんの姉役だった私は、あの頃ふっくらしていた陽子ちゃんをひばりさんと似ているとは思った事が無く、その舞台の稽古初日に、すっかり痩せて頬の肉が無くなって大人のお顔になった陽子ちゃんが目元とおでこが似ているのでびっくり「アッ!ひばりさんだぁ!」と。

さて舞台の幕開けは、ドーム公演の時のひばりさんのご挨拶映像からはじまり、次の転換で九歳のひばりさん役の子役の手を握り、花道からの出を待っている私の毎日の幸せったらありません。「ただ今!」と滝頭のひばりさんの魚屋さんの居間に入ると、浜田のみっちゃんの増吉さんが“おぉ~、オーデションはどうだった?”と迎えます。舞台の最後はやはりドーム公演、そっくりさんの陽子ちゃんのひばりさんに向かって、カーテンコールの為、袖でスタンバイしているママ役の私は毎日ライターの火で丸を描きます“お嬢!素敵よ!ダメだし無し!”と本物のママがやっていた様に!公演は各地超満員!ひばりさんは生きている!まぎれもなく「不死鳥だ!」と実感し、なにより幸せな嬉しい日々でした。

こうして本日會の本番を迎え、思い返しましても生きて来た点と点が繋がり一本の線となり今日の企画となった私の道があります。ひばりさん懸命にやります。お許し下さい!
香津代記

さてさて第4回の今回の本番の日、朗読しながらスクリーンにひばりさんの赤ちゃんのときから晩年までの珍しい写真を写しながらの40分はひばりさんのお傍に添うてる様な幸せな時間でした。會員に教える故花柳年之輔先生振付の18曲そして香津代が一人でメドレーで踊る5曲、計23曲を何十回もひばりさんの歌声を聞きながら稽古している時の幸せったらありません! “ひばりさ~ん!うま~い!(当たり前ですが云わずにはいられない!)素敵!”と心の中で繰り返しながら!

ご指導下さった花柳〆太郎・衛彦先生へのお詫びを含め次回の會でも古典の日本舞踊でひばりさんの曲を踊っていきたいと思っています。そしていつの日か“朗読と日本舞踊で踊るひばりさんの世界!”としていろいろな方々にご参加願っての再演をしたいと夢見ています!

また朗読では故郷秋田には魅力的な先人が沢山いらっしゃいますし、ご縁のある方から脚本作りをはじめたいと思っておりますが、このページを開けて頂いた方!ぜひ、この方の一生をという朗読をさせて頂ける方がいらっしゃいましたらご一報下さいね!

さあ!今年もひと月と半分・・・。お年賀の仕度に忙しくなりますねぇ!いつかは出せなくなるお年賀を平成26年もお送り出来る事を感謝し、私も準備をはじめます。

お年賀にも入れますが、来年の3月には一年ぶりの舞台です。大好きなジェームス三木先生の脚本・演出「あんた十手持った?」三田佳子さん主演作品・東京日本橋の三越劇場です。またHPあけて下さい!チラシができたらご案内しますね、ぜひぜひお出かけ下さいねぇ!

そうそう、私への郵便は所属事務所のあさり座宛ですが、今年引越しました。近くなので番地だけ変更です。郵便番号・電話・FAXは同じで~す!
新住所⇒〒164-0012 中野区本町1丁目25-15-302号 あさり座
☎03-3376-7246☆Fax03-3378-7248

では、今年も「やり残し」ない様にセッセと気ぜわしい日々を乗り切ろうではありませんか! お元気に!

平成25年霜月吉日 香津代